GRAUCOMA
緑内障手術
緑内障について
厚労省の調査で日本人の失明原因で多いのは、1位緑内障、2位糖尿病網膜症、3位網膜色素変性症、4位加齢黄斑変性となっています。
一番多い緑内障の有病率は40歳以上の中高年者の17〜20人に1人、80歳以上ですと9人に1人となっています。比率的には少なくても20代の方もいます。
高度近視や血縁家族に緑内障患者さんがいる方は危険率が高くなります。
従来から緑内障の早期発見と点眼治療開始時期を決める為の検査としては、
主として眼底カメラ、眼圧検査、前房隅角検査、ハンフリー視野検査等の経過を総合的に判断して診断されて来ました。
特に視野が正常かそれとも異常が現れて来たかは、今でも非常に重要な判断材料とされています。
緑内障診療 最近のトピックス
最近この判断を助ける上での画期的な検査機器が登場しました。
眼底三次元画像解析装置(OCT)とよばれるもので、近赤外線レーザーを用いて眼底の視神経乳頭の変化や網膜視神経線維層の厚みの変化を正確に判定出来るようになったのです。
当院はOCTをいち早く導入し、緑内障を示唆する異常がありながらも、通常の視野検査でまだ視野欠損を認めない状態である前視野緑内障(preperimetric glaucoma;PPG)を検出することができます。
緑内障は早期発見早期治療が基本ですので、超早期緑内障の治療を早期に発見をして経過観察を行っていくことは、緑内障の患者様にとって大切であると思っております。
緑内障患者様において視野障害が現れた時点では、すでに5〜6割以上の視神経障害を受けている事が分かってきました。
緑内障による視野異常は現時点では回復させる方法がありません。
予防医学の観点から視野異常が出る前の前視野緑内障から点眼治療を開始した方が、その患者さんの人生の生涯の視機能の質を維持する事が出来ると考えております。
緑内障診療
緑内障の早期発見の為に、特に前視野緑内障の検出に非常に有用なOCT検査を精密視野検査やその他の検査と併せて行っております。
ドックや健診で乳頭陥凹と指摘された方は勿論、近視の強い方や、家族に緑内障患者さんがおられる方は特に早めの検査を受けるようにお勧めしております。
病状によりハンフリー視野検査 ゴールドマン視野検査 視神経乳頭解析 GCAを3〜6ヶ月に行い、進行をグラフ化して経過観察を行う。
えのき眼科グループで行われている緑内障治療1 点眼治療
まずは眼圧を下降させることが治療の基本です。
各種点眼薬(β遮断薬/プロスタグランジン製剤/炭酸脱水酵素阻害剤/α1遮断薬/α2作動薬/ROCK阻害薬/配合剤)
などを組み合わせて、目標眼圧に向けて点眼治療を行う。
えのき眼科グループで行われている緑内障治療2 レーザー治療
緑内障の病型により
- レーザー虹彩切開術
- レーザー線維柱帯形成術
- 網膜光凝固
- 毛様体光凝固
- レーザー糸切り術
を行う。
えのき眼科グループで行われている緑内障治療3 手術治療
- 線維柱帯切除術
- 周辺虹彩切除術
- 隅角癒着解離術
- 流出路再建術
- 顕微鏡下角膜結膜縫合術
- 緑内障インプラント手術(緑内障チューブシャント手術)
緑内障手術 最新のトピックス
緑内障の手術の際に、アルコン社製 エクスプレスR緑内障フィルトレーションデバイスを用いて行う。
手術は線維柱帯切除術とほぼ同等であるが、より安全に緑内障手術を行うことができるようになった。
ただし、エクスプレスは頭部MRI検査(磁気共鳴画像診断装置による検査)をお受けになる場合は、
磁場強度3テスラまで可能ですが、術後2週間以内のMRI検査はデバイスの固定が安定していないため、推奨されません。
(ただし、脳出血や脳梗塞など、重大な病気が疑われ、緊急性を要する場合のMRI検査は致し方なしと考えます。)
- 結膜を剥離し、強膜を露出します。
- 四角形のflapを作成
- マイトマイシンCを浸したMQAR(血を拭くスポンジのようなもの)を強膜弁下や結膜下に静置し、3分待ちます。
- マイトマイシンCを洗浄する。
- ExpressRを挿入します。
- 強膜弁に10-0ナイロン角針4針かけたところで過度な房水漏出がないか確認します。
- 10-0ナイロン丸針で結膜を連続縫合します。
どのような緑内障の手術であっても、眼圧の下降は個人差が伴います。
手術が適切に施行されていても目標眼圧までいかないこともあり、術後の眼圧コントロールがとても大切になります。
緑内障の手術は白内障の手術と比べると、感動の少ない手術といえます。